ケンコー・トキナー ポータブル赤道儀 スカイメモS ブラック (KEN55159) レビュー
導入
昨今、天体写真への関心が高まる中、手軽に美しい星空を撮影したいというニーズに応えるポータブル赤道儀が注目されています。今回、私が手に取ったのは、ケンコー・トキナーから発売されている「ポータブル赤道儀 スカイメモS ブラック」。コンパクトながらも本格的な天体撮影を可能にするという触れ込みのこの製品について、実際に使用してみた感想を詳しくお伝えします。
まず、この製品の最大の特徴は、その携帯性にあります。手のひらに乗るほどのコンパクトさと軽量さは、まさに「ポータブル」の名にふさわしいものでした。これなら、遠出の旅行やキャンプでも気軽に持ち運べ、思い立った時にすぐに天体撮影に挑戦できます。ブラックカラーは、夜空の黒に溶け込むような落ち着いた印象で、持つ喜びも感じさせてくれます。
開封と初期設定
外観と質感
箱を開けると、まず目に飛び込んでくるのは、洗練されたブラックのボディ。プラスチック製でありながらも安っぽさを感じさせない、マットな質感は好感が持てます。各部の操作ボタンやネジ類もスムーズに動き、作り込みの丁寧さが伺えます。説明書も比較的わかりやすく、初心者でも戸惑うことなく初期設定に進むことができました。
初期設定の容易さ
赤道儀の設置は、付属の三脚(別売りの場合もありますが、私が試したセットには含まれていました)に本体を取り付け、極軸望遠鏡で北極星を導入するという基本的な流れです。この極軸望遠鏡の覗きやすさや、微動装置の操作性も良好でした。特に、極軸合わせの精度は、天体写真の成否を左右する重要なポイントですが、スカイメモSは比較的容易に高精度な合わせが可能だと感じました。この点は、初心者にとって非常にありがたい設計と言えるでしょう。
実際の撮影体験
日周運動の追尾性能
いよいよ実戦投入です。まずは、庭で手軽に星空を撮影してみました。スカイメモSの電源を入れ、カメラをセッティング。数分間の露光で撮影した画像を見て、その追尾性能に驚きました。星が点像として写っており、ブレがほとんど見られません。これは、赤道儀の心臓部であるモーターの性能と、前述の極軸合わせの精度が合わさった結果だと実感しました。
特に、暗い夜空で長時間露光を行う天体写真では、地球の自転による星の動きを正確に追尾することが不可欠です。スカイメモSは、その役割をしっかりと果たしてくれました。これなら、普段は諦めていたような暗い星雲や銀河の撮影にも、自信を持って挑戦できそうです。
様々な撮影モード
スカイメモSには、恒星時駆動だけでなく、1/2恒星時駆動、月駆動、太陽駆動など、様々な駆動モードが搭載されています。それぞれのモードを切り替えることで、目的に応じた天体撮影が可能になります。私が特に便利だと感じたのは、月や太陽の撮影モードです。これらの天体は動きが速いため、通常の恒星時駆動では追尾が難しいのですが、専用モードがあることで、よりクリアな写真を撮影することができました。
電源について
電源は、単三電池4本、または別売りのACアダプター、外部バッテリーなど、複数の方法に対応しています。長時間の撮影を考えると、外部バッテリーの使用がおすすめですが、手軽さを優先するなら電池でも十分でしょう。電池の持ちも、思った以上に良好でした。ただし、寒い時期の屋外では電池の性能が低下する可能性があるので、予備の電池は用意しておくと安心です。
携帯性と耐久性
コンパクトさの恩恵
前述の通り、スカイメモSのコンパクトさは最大の魅力です。リュックサックの片隅に収まるサイズ感は、移動の負担を大幅に軽減してくれます。登山やキャンプなど、普段のレジャーに天体撮影をプラスしたいという方には、これ以上ないパートナーとなるでしょう。
耐久性への期待
素材感から、ある程度の耐久性は期待できますが、過酷な環境での使用については、やはり注意が必要です。特に、雨や埃、極端な温度変化には弱いため、使用後は丁寧に手入れをし、保管場所にも気を配る必要があるでしょう。しかし、一般的な使用であれば、十分に長く付き合っていける製品だと感じました。
まとめ
ケンコー・トキナー ポータブル赤道儀 スカイメモS ブラックは、初心者から中級者まで幅広くおすすめできるポータブル赤道儀です。そのコンパクトさと手軽さにも関わらず、本格的な天体撮影を可能にする追尾性能は、まさに価格以上の価値を提供してくれるでしょう。極軸合わせの容易さや、多様な駆動モードも、撮影の幅を広げてくれます。
もちろん、より高度な撮影を求めるのであれば、さらに高性能な赤道儀も存在しますが、まずは手軽に天体写真の世界に足を踏み入れたい、あるいは、手軽に持ち運べる赤道儀を探しているという方には、このスカイメモS ブラックは最適な選択肢と言えます。暗い夜空の神秘を、この一台で切り取ってみてはいかがでしょうか。
上の文章は個人的な感想です。下記サイトで正確な情報をお確かめください